改正物流効率化法で食品事業者に求められること|中小企業が今から着手すべき配送の見直し
改正物流効率化法で食品事業者に求められること
中小企業が今から着手すべき配送の見直し
改正物流効率化法は、2025年4月に努力義務が先行して施行され、2026年4月から特定事業者に対する義務が施行された法律です。取扱貨物量などが一定規模を超える企業には、物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の提出が義務づけられました。規模要件を見て「うちは対象外」と判断した中小の食品事業者も多いはずですが、この法律の影響は規模要件だけでは測れません。
この記事では、改正物流効率化法の全体像と特定事業者の要件を整理したうえで、規模要件に達しない中小企業にどのような形で影響が及ぶのか、そして今から着手できる配送の見直しを解説します。食品卸、食品メーカー、低温倉庫の経営層・物流責任者に向けた内容です。

目次
「うちは対象外」で終わらせられない理由
改正物流効率化法の解説記事の多くは、特定事業者の規模要件と義務の内容を中心に書かれています。そのため、要件に届かない中小企業にとっては自社と無関係な話に見えがちです。
しかし実際には、次の3つの経路で影響が及びます。
努力義務: 規模を問わず、すべての荷主・物流事業者に取り組むべき措置が努力義務として課されている
取引先経由: 特定事業者となった取引先が、自社の計画達成のために納入・配送条件の見直しを求めてくる
競争条件: 荷待ち・荷役時間の短縮に対応できない事業者は、運送事業者から敬遠される可能性がある
特に2つ目が重要です。大手の食品メーカーや量販店が特定事業者に指定されると、その企業は中長期計画を作成し、定期的に国へ報告する立場になります。計画を達成するために、取引のある卸や倉庫、運送事業者に対して条件の見直しを求めるのは自然な流れです。つまり中小企業には、自社が規制対象かどうかとは別に、取引先からの要請という形で影響が届きます。
改正物流効率化法とは
改正物流効率化法は、正式には「物資の流通の効率化に関する法律」といい、従来の流通業務総合効率化法を改正したものです。2024年に改正法が成立し、段階的に施行されてきました。
背景にあるのは、2024年問題によって生じる輸送力不足への危機感です。国の試算では、何も対策を講じなければ2030年度には3割を超える輸送力不足が生じる可能性が指摘されています。この状況に対し、これまで物流事業者側に偏りがちだった負担を、荷主側にも分担させるというのが改正の趣旨です。
施行スケジュールは次のとおりです。
2025年4月 第一段階。基本方針の策定、荷主・物流事業者への努力義務、判断基準の公表など
2026年4月 第二段階。特定事業者の指定、中長期計画の作成・提出、定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任義務など
誰が「特定事業者」になるのか
特定事業者は、事業区分ごとに規模要件が定められています。
| 区分 | 規模要件 | 該当企業数の目安 |
| 特定荷主・特定連鎖化事業者 | 年間の取扱貨物 9万トン以上 | 約3,200社 |
| 特定倉庫業者 | 貨物の保管量 70万トン以上 | 約70社 |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両 150台以上 | 約790社 |
このうち特定荷主・特定連鎖化事業者には、経営幹部から物流統括管理者(CLO)を選任することが義務づけられています。CLOは事業運営上の重要な決定に参画する立場の者から選ぶこととされており、物流を現場の実務ではなく経営課題として扱うことを求めた制度設計になっています。義務に違反した場合の罰則も定められていますので、該当の可能性がある企業は国土交通省が公表する資料で要件と手続きをご確認ください。
中小の食品事業者に関係する3つのこと
規模要件に達しない企業にとって、実務上意味を持つのは次の3点です。
すべての事業者に努力義務がかかっている
前述のとおり、特定事業者となった取引先は自社の計画達成に向けて動きます。具体的には、納品時刻の集中を避けるための時間分散、パレット化による荷役時間の短縮、発注ロットの見直しといった要請が想定されます。
ここで重要なのは、要請を受ける側にも交渉の余地があるという点です。「この条件ならこれだけ効率が上がる」「この条件は当社では対応できないが、代わりにこの方法なら可能」という具体的な提案ができれば、一方的な条件変更ではなく、双方にとって合理的な着地を探る議論になります。そのためには、自社の配送実態を数字で把握しておく必要があります。
荷待ち・荷役の削減は自社の配送計画の問題でもある
荷待ち時間や荷役時間は、しばしば「納品先の都合」として語られます。確かに受け入れ側の体制に起因する部分は大きいのですが、自社の配車計画が納品時刻の集中を招いている場合もあります。
たとえば、複数の車両が同じ時間帯に同じセンターへ向かう計画になっていれば、自社の車両同士で待機列を作ることになります。納品先に条件見直しを求める前に、自社の計画で解消できる部分がないかを確認する価値があります。
求められる措置と配送計画の関係
努力義務として示されている措置を、自社の配送計画という観点から整理すると次のようになります。
| 求められる措置 | 配送計画で対応できること |
| 荷待ち時間の短縮 | 納品先ごとの時間枠を計画に組み込み、到着時刻を分散させる |
| 荷役時間の短縮 | 荷卸し作業時間を計画に織り込み、実態に合った所要時間で組む |
| 積載率の向上 | 納品先の組み合わせと訪問順序を見直し、一便あたりの積載を高める |
| 輸送距離の削減 | 拠点の使い分けと訪問順序を最適化する |
つまり、法対応として求められている項目の多くは、配送計画の質を上げることで前進します。法令対応と効率化を別々の取り組みとして進めるのではなく、配送計画の見直しという一つの取り組みとして扱うほうが合理的です。
中小企業が今から着手できる3つのステップ
現状を数字で把握する
最初にすべきは、自社の配送実態を数値化することです。納品先ごとの平均待機時間、荷卸しにかかる時間、便ごとの積載率、車両ごとの稼働時間——これらを把握していなければ、改善のしようも、取引先との交渉のしようもありません。
完璧なデータは必要ありません。まずは1か月分の運行記録を整理するだけでも、どの納品先で時間を失っているかは見えてきます。
配送計画の作り方を標準化する
担当者ごとに異なる判断基準を洗い出して整理し、誰が組んでも一定品質の配車ができる状態を目指します。属人化を解消する第一歩であり、後の仕組み化の土台になります。このとき、納品時刻や荷役時間といった条件を明文化しておくことが、次のステップに直結します。
最適化の技術で計画の質を上げる
標準化した条件をシステムに組み込み、複数の制約を同時に満たす計画を計算で導きます。温度帯、納品時刻、荷役時間、ドライバーの拘束時間といった条件を同時に扱えるため、人間が暗算では到達できない水準の計画を、短時間で作成できます。
この段階まで来ると、「納品時刻を30分ずらしてもらえれば車両を1台減らせる」といった、取引先との交渉に使える具体的な材料も得られるようになります。
効果検証(PoC)から始める
中小企業にとって、いきなりシステムを導入するのは負担が大きい選択です。導入前に効果検証を行い、自社の実データで削減効果を確認してから投資を判断できれば、リスクを大きく下げられます。
効果検証では、実際の配送データを使って現行の計画と最適化後の計画を比較し、走行距離、使用車両数、拘束時間、待機時間といった指標がどれだけ改善するかを数字で確認します。この結果は、投資判断の根拠になると同時に、法対応として国や取引先に説明する際の材料にもなります。
コストと補助制度の考え方
配送計画の見直しにかかる投資は、削減できる金額と比較して判断します。燃料費、残業代、配車作業時間、車両関連費用の削減が主な効果ですが、食品事業者の場合はこれに返品・廃棄の削減が加わることもあります。
また、物流効率化や省力化を目的とした国の補助制度が設けられている場合があります。制度の内容や公募時期は年度によって変わるため、自社が対象になるかは最新の公募要領で個別に確認が必要です。

まとめ
改正物流効率化法は、規模要件を満たす特定事業者だけの問題ではありません。すべての事業者に努力義務が課され、さらに特定事業者となった取引先からの要請という形で、中小の食品事業者にも実務上の影響が及びます。
ただし、求められている措置の多くは配送計画の質を上げることで前進する内容です。法対応を負担としてではなく、以前から課題だった配送効率化に着手する契機として捉えるほうが建設的です。進め方は、現状を数字で把握し、計画の作り方を標準化し、最適化の技術で質を上げ、その効果を導入前に検証する——という順序で描けます。
配送計画の見直しは、説明を読むだけでは自社での効果を判断しにくい取り組みです。まずは実際の最適化計算を見ることで、現在の配車との違いを具体的にイメージできます。
ルートコンパスAIのページでは、配車最適化のデモをその場で体験できます。まずは「最適化を実行」ボタンから、輸送費・労務費・拠点作業費・遅延ペナルティを考慮し、設定した条件のもとで総コストを抑える計画がどのように算出されるのかをご確認ください。
自社データを使った具体的な削減効果については、導入前の効果検証(PoC)を通じて確認できます。まずはデモで最適化の動きを体験し、そのうえでPoCへ——という順序で、低リスクに検討を進められます。し、そのうえでPoCへ——という順序で、低リスクに検討を進められます。
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