• 石川毅志

【そもそも論】契約書を作る意味【口約束でも有効?】



“そもそもだけど、お金の貸し借りに契約書って必要なの?
口約束でも契約成立って聞いたことあるけど。”

先日、【本当に使えるの?】契約書の雛形【メリット・デメリット】にて、

ひな形を使う方法に説明しましたが、今回は、契約書を作る意味についてお話します。




契約書VS口約束

実は、お金の貸し借りにおいて、契約書を交わさずに口約束だけで取引開始するケースが

たくさんあります。


私が、個人間のお金の貸し借りについて調査した際、半数以上が契約書を交わさずに

大きな金額の貸し借りをしている事がわかり大変驚きました。


それでは上記のように、お金の貸し借り実態さえあれば、契約書は不要でしょうか。

結論として、契約書はあった方が良いです。


口約束においても、諾成契約と言う考えた方をもとにした契約当事者の合意と

要物契約としての取引実態があれば、契約が成立することになります。

(簡単に言うと、貸し手と借り手が合意して、実際にお金が動く事で契約成立)

ただし、2020年4月に民法が改正されて、金銭消費貸借契約について、

上記の原則を維持しつつも、

「書面でする消費貸借について、金銭等の引渡しとその返還を合意することにより

効力を生ずる」

と言う定めが追加されて、書面がない取引が否定される可能性が示唆されました。

(法律って難しいですね。)

それでもやはり、口約束に頼ると後々トラブルになった時、

契約した内容を証明する事が難しく、

自分の正当性を主張できなくなってしまう事があります。

そこで、LINEやメールで契約の内容を確認したものをベースにお金の貸し借りを

開始してはどうでしょうか。

こちらは、主張内容の証拠として、LINEやメールの内容を提出することはできるので、

口約束よりは証拠としての力は強いです。


契約書を作る理由

それでは、なぜ契約書が必要なのでしょうか。

以下3点が大きな理由です。


1. 証拠の効力をより強くするため

 自署や捺印は改ざんが難しく、メールやLINEなどは少しパソコンの画像処理

 ソフトの技術があれば、簡単にできてしまいます。今は、電子署名もあるので、

 便利です。


2. 解釈のブレを減らすため

 法律的表現で契約することで、言葉の意味合い・解釈が統一されます。

 例えば、

 貸し手が「返せる時に返してくれればいいよ」と言われたので、

 借り手は事業が軌道に乗ってから返済するものだと思っていたが、

 貸し手の意図は「次の売上金が入ってすぐに」と言う意図を込めている事があります。

 法律の文法に則って記載する事で、お互いの理解の齟齬をなくします。


3. 合意内容を保管しやすいため

 口約束はボイスレコーダーで記録しないと残せないですし、

 メールもほったらかしておくと容量制限で削除されることもありますが、

 書面をファイルやPDF保存しておく事で証拠の保存能力が向上します。


契約書は、お金の貸し借りの取引内容(誰が、いつ、いくら、どのような条件で)を、

お互いに確認した内容を書面に落とし込んで、署名することで、

上記のメリットを得る事ができます。

契約書を作って安心・安全に取引を

逆に言うと、上記のメリットがあるにもかかわらず、契約書を交わさずに、

メールや口約束に頼って、契約してしまうのはもったいないと思います。


あと一手間加えるだけで、後の紛争などのリスクヘッジが可能にもかかわらず、

・相手との信頼関係が揺らぐ気まずさ、

・紛争は起こらないだろうと言う見通し、

・問題が起きてから対処すればいいと言う楽観、

から、多くの場合、契約書を作らずにお金の貸し借りを開始してしまいます。


しかし、お金の貸し借りは、人間関係を変えてしまう可能性のある取引です。

契約書を作成しないことは、気まずさ、甘い見通し、過度な楽観により、

問題を先送りにして、時に取り返しのつかない状況を生んでしまう可能性が

あります。

この記事を読んで、契約書を交わして、安心・安全に取引をしてもらえる

ようになれば、幸いです。

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